日本の伝統菓子である和菓子。昔から、四季折々の行事やお祝いのシーンで食べられてきました。
和菓子の繊細な美しさや味に魅了され「和菓子職人になりたい」と思う人は増えています。
しかし「未経験からでもなれるの?」「どうやって目指すの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、元公務員から和菓子職人の世界に入った私が、和菓子職人になるための方法や必要な期間、働き方や収入、将来性までを分かりやすく解説します。ぜひ最後までお読みください。
和菓子職人とは

素材の扱い方や季節感の表現、見た目の美しさなどが求められ、技術だけでなく感性も必要な仕事です。
具体的な業務内容は以下のとおり
- 季節や行事に合わせた和菓子の製造
- 材料の選定・仕入れ
- 店舗での販売・包装
- 新商品の企画・開発
和菓子職人になるには?方法は大きく分けて2つ
1 和菓子を学べる学校に入学する

製菓専門学校や、製菓コースのある大学・短大などでは、和菓子作りの基礎から応用までをしっかり学ぶことができます。
- 基礎から応用まで体系的に学べる
- 卒業後の進路サポートがある
- 同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できる
- 費用がかかる(年間100万円前後)
- 通学時間が必要(1〜4年)

実際に和菓子屋の現場で働いていると、製菓学校を出ている人は基礎ができているから、現場での上達が早いと感じるよ
2 和菓子店に就職して修行を積む


和菓子店によっては経験者しか採用しないところもありますが、未経験者でも採用してもらえる和菓子店はあります。
- 実践的に学べる
- 収入を得ながら修行できる
- 職人の考え方や文化を肌で感じられる
- 経営の実態が見れる
- 丁寧に教えてもらえるとは限らない
- 上下関係が厳しいことがある
- 教わる内容が部分的、局所的
- 基礎理論は自分で補う必要がある
- 製菓学校卒業者より下積みが長い傾向
和菓子職人になるには何年かかる?


しかし、何年やったら「和菓子職人」になれるといった定義はありません。
和菓子職人として「どのレベルまで到達したいのか」「どんな働き方がしたいのか」は人それぞれですので、かかる年数は目標と努力次第といえるでしょう。
未経験からでも和菓子職人になれる?


ただし、未経験から和菓子職人を目指す場合、まずは和菓子店で修行を積み、技術を習得していく必要があります。



未経験からでも修行をさせてもらえる和菓子店を見つける必要があるよ
厚生労働省の職業情報提供サイトjob tagによると、和菓子職人の現場で働く人を対象にアンケート調査をおこなったところ、65.9%もの人が「入職前の訓練期間は特に必要ない」と回答しています。


和菓子職人に資格は必要?


和菓子職人になるために、国家資格や免許は必須ではありません。
とはいえ、和菓子に関係する資格を持っておくことは、就職や転職の際の「信用」につながり、有利になるでしょう。
勤務先によっては、技能手当がもらえることもあります。
資格をとることで仕事の幅も広がるメリットもあります。
スキルや知識を証明する資格としては次のとおり
資格 | 認定団体 | 資格の趣旨 |
---|---|---|
製菓製造技能士 | 厚生労働省 | 【国家資格】 菓子づくりの技術・知識を証明する資格 一般的には、製菓衛生師の上位資格として位置付けられる。洋菓子か和菓子かを選択でき、1級と2級の難易度がある。 |
製菓衛生師 | 厚生労働省 | 【国家資格】 菓子製造における衛生管理の知識や技術を持つことを証明する資格 |
食品衛生責任者 | 都道府県の食品衛生協会や保健所 | 【公的資格】 飲食店や食品製造業、食品販売店などの営業施設において衛生管理を担う責任者としての資格 |
和菓子ソムリエ | 日本安全食料料理協会 | 【民間資格】 和菓子に関する種類や道具、分類、材料などのあらゆる知識を有することを証明する資格 |
和菓子コーディネーター | 日本フードライセンス国際協会 | 【民間資格】 和菓子についての幅広い知識を持ち、和菓子店のマーケティングや出店全般、経営管理を担うスペシャリストとしての資格 |
和菓子パティシエ | 日本生活環境支援協会 | 【民間資格】 日本各地の郷土和菓子についての知識のほか、和菓子に関する文化的な歴史と背景を理解し、季節や行事に合わせた菓子を適切に選ぶことのできる知識を有することを証明する資格 |
和菓子職人の働き方
和菓子職人の働き方はひとつではありません。以下のような多様なキャリアパスがあります。
1 和菓子店で働く
和菓子店には、個人経営の小規模なものから、チェーン展開している大規模なものまで様々あります。
経営形態も、「商品のラインナップの数」「機械化の有無」など様々です。
雇用形態や給料、福利厚生などの待遇も様々。



条件も大切だけど、自分がやりがいを感じられる社風のところを選ぼう。
2 食品メーカーで働く
和菓子は、コンビニやスーパーなどでも販売されていますが、それらの和菓子は食品メーカーが製造しています。
食品メーカーでは、商品を大量生産するため、製造工程が機械化されているところが大半です。
和菓子職人は品質の管理や商品開発などに携わることになります。
3 指導者になる
製菓学校やカルチャースクールなどで和菓子作りの指導に携わる仕事です。
指導者になるには、和菓子職人としての実務経験や資格取得、コンクール受賞歴などといった「実績」があると信用が増します。
4 カフェで働く
最近では、抹茶やきなこなど、和の食材を使った「和カフェ」といわれる形態の飲食店も増えてきました。伝統的な和菓子とは異なりますが、経験の少ない人も足を踏み入れやすいといったメリットがあります。
5 独立開業する
和菓子職人としての経験を積んだ後、独立開業する人も多いです。
業態としては様々なものがありますが、以下に一例を紹介します。
- 和菓子店の経営
- 和菓子研究家
- 和菓子教室の経営
- 店舗のプロデュースや商品開発
和菓子職人の年収


経験年数 | 収入の目安 |
---|---|
見習い(1〜3年) | 200万〜250万円 |
中堅職人(5〜10年) | 300万〜400万円 |
店長・責任者 | 400万〜500万円 |
独立開業後 | 売上により大きく異なる |
厚生労働省の職業情報提供サイトjob tagによると、和菓子職人の平均年収は約366.2万円です。
収入面では厳しさもありますが、腕を磨いていくことで着実にステップアップが可能です。
和菓子職人の将来性


和菓子全体の生産量は昔と比べ減少していますが、今後大きく生産量が減るとは考えられていません。
なぜなら、和菓子は日本文化と密接に関わっており、お正月やお彼岸などの一定の需要があるからです。
また、和菓子は手土産需要があることも、和菓子産業の業績安定の一因になっています。
しかし、原材料費の高騰やコンビニスイーツの台頭など、和菓子産業の成長を阻む逆風があるのも事実です。
このような状況だからこそ、和菓子職人は、時代の流れに沿った商品開発やPR方法を考えていく必要があり、非常にやりがいのある職業といえるでしょう。
まとめ


和菓子職人は一生をかけて成長できる仕事
あなたの情熱を、ぜひ形にしてみませんか?
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